わずかな雲の切れ目から光が差し込み、ススキの穂はきらめき出す。晩秋の草原は、黄金色の海のように風に揺れ出した。
兵庫県のほぼ中央、神河町の砥峰(とのみね)高原。標高800~900メートルの起伏が多い特徴的な地形に、約90ヘクタールのススキの大草原が広がっている。
いま、近くの峰山高原とともに、村上春樹さんのベストセラー小説を原作にした映画「ノルウェイの森」(12月11日公開)のメーンロケ地として注目が集まっている。
同小説は、親友を失った大学生、ワタナベと、その親友の恋人だった直子との再会やみずみずしい魅力を持つ女性、緑との出会いを通して、青春の喪失と再生を描いた物語。ワタナベが直子から、苦しい胸の内を打ち明けられる草原でのシーンが印象的な場面となっている。
「カット、カットを一枚の絵のように撮りたい」と、特に草原の場面のロケ地にこだわっていたトラン・アン・ユン監督。全国でイメージに合う場所を探していたところ、起伏があり、稜線(りょうせん)に並ぶ杉の木立がある砥峰高原に目がとまった。
オカリナカバー洋楽ベストセレクション
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