Erik Satie - Relache

南仏で271点の未知のピカソ作品=本人が知人に譲渡? 


【11月30日 AFP】パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の未発表作品271点がフランスで発見された。元電気工のピエール・ルゲネク(Pierre Le Guennec)さん(71)が、ピカソ本人から譲り受けたと主張している。
総額は6000万ユーロ(約66億円)に上るとみられ、ピカソの遺産管理団体の代表を務める息子のクロード・ピカソ(Claude Picasso)氏側は、これらの作品が盗まれたものだと主張してルゲネクさんを告訴した。
仏紙リベラシオン(Liberation)によると、見つかった作品はピカソの創作意欲が最も高かった時期とされる1900~1932年に制作されたもの。若きピカソがスペイン・バルセロナ(Barcelona)からフランスに移住した時期の作品で、キュビズム絵画のコラージュ作品9点や、いわゆる「青の時代」の水彩画などが含まれている。
ピカソ家の弁護士は29日、AFPの取材に「これらが贈り物だと信じる人は誰もいない。馬鹿げた話だ」と述べ、「この電気工は、ピカソの長年の友人だったと主張している。しかし、ピカソの生涯を事細かに知るわれわれも、一度も名前を聞いたこともない人物だ」と語った。
■「晩年のピカソから譲渡」
ルゲネクさんは、ピカソが死去した1973年までの3年間に、南仏カンヌ(Cannes)の別荘などピカソの住居数か所に防犯警報システムを設置したという。作品はピカソ本人や妻から譲り受けたものだと述べている。
29日、仏RTLラジオに出演したルゲネクさんは、これらの作品を無償で譲り受けたと主張した。
「夫妻がくださったんだ。それなりの価値があるとは思っていたけれど、そんなことには関心がなかった。関心を持ってたならずっと前に売ろうとしていましたよ」(ピエール・ルゲネクさん)
ルゲネクさんは病気をしたことをきっかけに、将来、子どもたちがピカソ作品を持っていることが明らかになれば子どもたちが説明に困るだろうと思うようになり、ピカソ作品を持っていることを明かしたと説明した。
しかし、ピカソの子息らはこの主張に異議をとなえる。ピカソは用心深く自らの作品を守ることで知られ、作品を売ることをおしむことも多く、ときには売却したお気に入りの作品を買い戻すこともあったほどだった。さらに、ピカソは贈呈する作品には必ず署名をしていたという。
■遺産管理団体に持ち込まれた未発表作品
リベラシオン紙によれば、ことし1月にクロード・ピカソ氏のもとに、ピカソの作品を撮影したとみられる26枚の写真と手紙が届いた。手紙でルゲネクさんは、これらの作品が本物であることを確かめてほしいと依頼していた。数か月後にさらに39枚の写真が送られてきたという。
クロード・ピカソ氏は確認を拒否したが、9月になってルゲネクさん夫妻がパリ(Paris)のクロード・ピカソ氏の事務所に、ピカソの作品175点を入れたスーツケースを持って現れた。専門家の分析でこれらが真作であることが確認され、その後クロード・ピカソ氏は9月23日に、盗品の取引をしようとしたとしてルゲネクさんを告訴した。
フランスの芸術作品盗難防止当局OCBCは、これらの作品を南仏のルゲネク夫妻の自宅から押収し、現在はパリ近郊の施設で保管していることをAFPに明らかにした。
ルゲネクさんの弁護士によると、夫妻は取り調べを受けたが、いまのところ起訴はされていない。同弁護士は「仮にルゲネクさんが盗品の取引をしようとしたのなら、それを遺産管理団体に持ち込むなんてことをするはずがない」と語った。